夏どころか春が来るにもまだ早い時分ですが、
すっかり閑古鳥の喉も涸れ、
信仰も散った当ブログ「砂糖信仰」の久々の更新です。
とは言っても、先日Twitterでつぶやいた
「なんちゃって文学」シリーズを
とりまとめただけの内容です。
たまには更新しておこうという筆者の気持ちを汲み取り、
回答欄にご記述願えればと存じます。
ゾンビ文学。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
死んだり生き返ったりまた死んだり、かと思えば生き返ったり、結局死んだり、ゾンビもいろいろと大変である。おとなしく死なせてくれと思うのだけど、死ぬことも生きることも大体は似たようなことなので、ゾンビというのは寝ながら起きているようなものである。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
たいてい、人は私たちのことを臭いとか汚いとかで忌むのだけれど、そもそもゾンビというのになるべくなっているものは少数で、大方のゾンビはゾンビになりたくてなっているのではない。しかしそれは人間も同じだろうと思う。人間になりたくてなった人間なぞ、私はついぞ出会ったことはない。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
今日も顔が痒い。ゾンビというのは体のことで、心までゾンビであったのなら楽だったのだろうが、これが人間より死に強いというだけで、物としては非常に脆いのだから困る。死ぬことは怖くないのに、生き続けることは非常に怖い。自殺をしようにも既に死んでいる。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
しかしゾンビでよかったこともある。食事を気にしなくてよいのだ。私は生前、売れない小説家をやっていて、妻にも愛想を尽かされ、どこぞの張り紙で募集された人体実験にエイヤと身を擲ったのだけれど、これで好きなものを書き続けることができるようになった。しかし、ああ、原稿用紙が汚れていく。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
まもなく腐り果て、じきに筆を持てなくなるので、これだけは最後に書いておこうと思うが、くれぐれも死に長らえたいとは願わないことだ。生きるなら生きる、死ぬなら死ぬで、きちんと決めてかかるべきである。刃物も拳も中途半端が最も痛い。ゾンビなぞという半端ものには、なるべきではないのである。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
ゾンビ文学終わり。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
めがね文学。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
めがねが見当たらないと父が言う。大方、居間や洗面台に置き忘れているのだろうと、私は見に行くが、見当たらない。物をよく見るための道具が見当たらないというのは、少し気持ちが悪かった。「きっと恥ずかしがり屋なのね」と母が言った。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
めがねが見当たらなくなって、父はずいぶんと困っていた。物がよく見えなくなったと、新聞を読まずにラジオばかり聞いていた。「新しいめがねを買おうか」と私が言うと「もうじき戻ってくる」とよくわからないことを言う。「お父さん、めがねは物よ」「物の見方を変えてごらん」
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
しばらくしてめがねは戻ってきていて、父はまた新聞を読み始めた。「そのめがねは生きているの?」と私が聞くと「そうかも知れないね」と言った。「それはどういうこと?」「人が生きるのが血液の流れであるのなら、めがねが生きるというのは、ものをよく見せられるということなんだよ」
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
「生き方にも、様々あるということさ。めがねは何かを見せられなくちゃあ生きていけないが、それでも時々『俺たちだって生きてるぞ』って見せつけるために、いなくなってしまうんだよ」
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
めがね文学おわり。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
芋文学
— suzukit86さん (@suzukit86) 2013年2月18日
芋を引っこ抜くと、地球がついてきた。「おいおいここはお前の来るところじゃないよ」と言っても聞かない。しかたがないので連れて帰ることにした。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
芋をふかして食べていると、地球が腹を空かせている。どうやらこいつ、芋は食べないらしい。Googleで調べてみると、地球は太陽光を食べるということだった。太陽光と芋にどれほどの違いがあるのか知らないが、とりあえず太陽光をふかして食わせることにした。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
地球のことはよく知らないが、太陽光を食うのなら楽だと思い、しばらく家においておくことにした。こいつも自転公転は得意なようだから、時期がくれば勝手に家から離れていくだろう。俺は今日も芋を掘り、太陽光と一緒にふかし、地球と食べる。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
ある朝起きると、地球は布団から離れていて、随分と寝相の悪いやつだと思ったが、それが公転だった。地球はそのまま俺の家から離れていき、静かに去った。俺は地球のせいで、すっかり芋と太陽光のどちらも食べるようになっていた。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
芋を食う俺は俺だが、太陽光を食ってしまう俺は地球なのかも知れない。よく見ると、芋が伸びて空に埋まっている。そしてまもなく、引っこ抜かれそうだ。これにくっついていけば、いよいよ俺は地球だろう。そしてそれを引っこ抜くのは、きっとまた俺で、俺は芋でなく、太陽光を俺にせびるに違いない。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
芋文学終わり。
— 女子高生風タチバナさん (@Tachibanashi) 2013年2月18日
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